ネオジムボンド磁石とは?特徴や用途を解説

Metal plates of rare earth magnets 3D rendering

この記事では、ネオジムボンド磁石の特徴や用途、ボンド磁石の概要について解説します。

外部から磁場などの影響がなくとも一定の磁力を保つ磁石のことを「永久磁石」と呼びます。一口に永久磁石といっても、成形方法や使用する材料によってさまざまな種類があります。

永久磁石は、最も強力な磁力を持つネオジム磁石が代表的ですが、組成の似た磁石としてネオジムボンド磁石と呼ばれるものもあります。ネオジムボンド磁石は、ネオジム系の磁石粉末にプラスチック樹脂を混合し成形したもので、焼結磁石であるネオジム磁石とは特性に違いがあります。

■ボンド磁石とは

始めにボンド磁石とは何かについて解説します。ボンド磁石(プラスチック磁石ともいう)とは、磁石粉末とエポキシ系・ナイロン系樹脂などのバインダー(結合材)やゴムなどと混合し成形した永久磁石のことを指します。

ボンド磁石に使われている磁石粉末は、フェライト系と希土類系があります。希土類系はさらに細かく分類すると、サマコバ系・ネオジム系・サマリウム鉄窒素系といった種類があります。

◇ボンド磁石の特徴

ボンド磁石は、磁石粉末を高温で焼き固めた焼結磁石と比べて、以下の特徴を持ちます。

・形状の自由度が高く、複雑な形でも成形できる。

・衝撃が加わっても割れにくく、欠けにくい。

・成形品の寸法精度が高く、仕上げ加工をあまり必要としない。

・樹脂により磁石粉末が絶縁されるため、電気抵抗が高い。

・磁石に蓄えられる磁気エネルギーが小さい。

・熱膨張が大きく、耐熱性に劣る。

ボンド磁石は、磁性を持たない樹脂を含む分、磁石粉末が占める体積が少なくなっています。製造法によりますが、磁石粉末は体積比で60~80%程度です。そのため、磁気特性も焼結磁石に比べて少ない特徴があります。

しかし、メリットとして複雑な形状や薄肉の形状に対応できるほか、仕上げ加工がなくとも高い寸法精度が得られます。

◇ボンド磁石の成形方法の種類

ボンド磁石は、用途や使用する結合材の違いにより、さまざまな成形方法が適用されます。

・圧縮成形法

圧縮成形法は、金型を用いて磁石粉末と熱硬化性樹脂(主にエポキシ系樹脂)の結合材を混合したものを圧縮成形し、熱硬化させる手法です。

・射出成形法

射出成形法は、磁石粉末と熱可塑性樹脂(主にナイロン)の結合材を混合後、ペレット化、乾燥の工程を経てから射出成形機で金型を用いて成形する手法です。

・押出成形法

押出成形法は、粉末磁石と熱可塑性樹脂(ナイロン系)を混合後、ペレット化して押出成形する手法です。

・圧延成形法

圧延成形法は、粉末磁石とゴムなどを混合後、ペレット化して薄い板状に圧延成形する手法です。

■ネオジムボンド磁石とは

ネオジムボンド磁石とは、ネオジム系の磁石粉末を用いて作られたボンド磁石のことです。使われている磁石粉末は、ネオジム(Nd)・鉄(Fe)・ホウ素(B)を主原料としています。

◇ネオジムボンド磁石の特徴

ネオジムボンド磁石は、ボンド磁石の特徴に加えて以下の性質を持ちます。

・磁力は代表的な焼結磁石であるネオジム磁石に比べて劣るが、フェライト磁石よりも強い。

・主に等方性の特性を示す。

・樹脂の耐熱性に左右されるため高温に弱い。(使用可能温度は100℃以下)

・錆びに弱いので、一般的に樹脂コーティングで防錆処理を行う必要がある。

ボンド磁石は樹脂を含んでいる分、焼結磁石に比べて磁力が弱くなりますが、ネオジムボンド磁石の場合は、永久磁石のなかでも高い磁力を有しています。また、等方性磁石であることから、任意の方向に多極着磁が可能です。

等方性磁石とは、どの方向に対してもほぼ同じ磁化の強さを持つ磁石のことを指します。一方で、ある特定の方向にのみ強く磁化する磁石のことを異方性磁石と呼びます。異方性磁石は、多極着磁に適していないものの、等方性磁石よりも高い磁力を示します。

◇ネオジムボンド磁石の用途

ネオジムボンド磁石は、基本的に着磁の方向に制限のない等方性磁石です。着磁磁場も比較的小さく済むため、多極着磁品に適しています。また、磁力・寸法精度・成形性に優れていることから、小型や薄型の高性能磁石として活用されています。

具体的な用途例としては、携帯電話の振動モーターや、HDDスピンドルモーター、ビデオカメラ用モーターなどのデジタル機器部品が挙げられます。

■ネオジムボンド磁石は小型、薄型の高性能磁石に適した製品

ネオジムボンド磁石は、ネオジム系の磁石粉末にプラスチック樹脂の結合材を混合して作られたボンド磁石の一種です。

磁力は焼結磁石であるネオジム磁石と比べると乏しいものの、フェライト磁石よりも強い特性を示します。また、ボンド磁石の特徴である、複雑な形状や薄肉の形状でも成形できること、等方性磁石で着磁磁場も小さく済むことから、小型の高性能磁石や多極着磁品などの用途で活用されています。

ただし、耐熱性と耐食性に乏しい点に注意してください。防錆のため、基本的には樹脂コーティングなどの表面処理を施す必要があります。