ACアダプタのトランス式とスイッチング式の違いとは?

トランス
Transformers

ACアダプタには、大きく分けて「トランス式」と「スイッチング式」の2種類があります。

今回はACアダプタの役割と、トランス式とスイッチング式のそれぞれの特徴・違いについて解説します。

ACアダプタとは

まずはACアダプタの役割について解説します。

ACアダプタとは、家庭や施設のコンセントから供給している電気を、対象の機器に適した出力に変換させるための製品です。電子機器の本体から分離させることで、熱やノイズの影響を軽減させる役割ももちます。

家庭や施設のコンセントから出力している電圧は交流(AC)です。しかし、電子機器は直流(DC)に変化させなければ動きません。コンセントの電圧は100Vになりますが、そのまま電圧を供給せず、降圧してから機器へと送られます。

そもそも供給される電圧は、なぜ交流かつ高圧なのでしょうか。これは「直流電圧に比べて交流のほうが昇圧・降圧しやすいこと」、「高圧のほうが効率よく電気を送れること」が理由です。

一般的に冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品に関しては、出力の変換機能が機器の内部に搭載されているため、ACアダプタを必要としません。

一方で、ノートパソコンやスマートフォンなどの電子機器はACアダプタを付属しています。これは、出力の変換機能を外部に設けることで、優れた軽量性を実現するためです。

トランス式ACアダプタの特徴

Output transistor power amplifier. Technological background

トランス式のACアダプタは、「トランス」と呼ばれる変圧器を利用して、電圧を変化させています。内部に鉄心とコイルを搭載している分、ACアダプタのサイズは大きくなり、重量も重たい傾向にあります。

トランス式は、家庭のコンセントから得た電圧をトランスで変圧したあと、整流ダイオードなどを通して交流から直流電圧へと変化させます。そこから電解コンデンサを通ることで、安定した直流電圧が得られるという仕組みです。

トランス式は、主な使用部品がトランス・ダイオード・コンデンサと少なく、構成がシンプル。そのため、価格も比較的安価です。

ノイズもスイッチング式と比べてほとんど発生せず、外部からの影響も受けにくい特徴があります。これらの特徴により、トランス式はオーディオ機器や医療機器などのノイズを避けたい場合に採用されています。

スイッチング式ACアダプタの特徴

スイッチング式は、トランス式のように大型のコイルを搭載していないことから、小型かつ軽量であるのが特徴です。

スイッチング式は、スイッチング素子により、直流電圧を高速でスイッチングする(ONとOFFで切り替える)ことで、任意の周波数を作り出し、トランスの小型化を実現しています。また、トランス式と比べて大きい出力が得られるほか、発熱も少なくて効率がよいこともメリットとして挙げられます。

このことから、現在ではスイッチング式のACアダプタが多く採用されるようになりました。携帯電話の充電用ACアダプタも従来の大きなサイズではなく、軽量で小型なモノが主流になっています。

しかし、スイッチング式はメリットばかりではありません。トランス式と比較すると部品数が多く、回路も複雑です。使用する部品は高耐圧部品を多く採用しているので、コスト面でも劣ります。ACアダプタの小型化に必要な高速スイッチングの機能は、ノイズが発生しやすく、外部からの影響も受けやすいというデメリットもあります。

トランス式・スイッチング式ACアダプタの特徴まとめ

トランス式とスイッチング式のACアダプタの特徴・違いは下記の通りです。

トランス式の特徴スイッチング式の特徴
ACアダプタのサイズが大きく、重量も重たい 回路の構成がシンプル 価格が安価 ノイズが少ない 外部からのノイズの影響を受けにくい 発熱が大きい スイッチング式に比べて低効率ACアダプタのサイズが小型かつ軽量 高耐圧部品が多く、回路の構成が複雑 トランス式よりも価格が劣る 高速スイッチングによりノイズが発生する 外部からのノイズの影響を受けやすい 発熱が少ない 高効率

現在ではスイッチング式のACアダプタがメインで使われていますが、オーディオ機器や医療機器などのノイズを避けたいシーンでは、トランス式を採用する場合があります。